延岡大観

Nobeoka Taikan

『破れ饅頭』は古くから延岡の人たちに親しまれているお菓子です。
その様子をうかがい知ることのできる書物『延岡大観』の破れ饅頭に関する記述をご紹介します。

『延岡大観』に記載の全文

本名は皇賀玉(おがたま)饅頭と云うのだそうなが、外皮薄く、其処此処破れてアンコが見える所から何時とは無しに『破れ饅頭』と云う様になったとのことである。味はどこかに蕎麦饅といった趣がある。製造本舗佐々木主人の話を聞くと、慶長19年、祖先某(なにがし)が神木おがたまの縁起に因み、其の果実に象(かたど)り売り出したのが初まりで、今日に及んだものだと云って居る。

成程おがたまと云えば、天照大神(あまてらすおおみかみ)が岩戸お隠れの際、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が実の着いたおがたまの小枝を持ち、面白可笑しく神楽を舞われたので、大御神が余りの賑やかさに我を忘れられ少しく岩戸を開き覗かれた所を、手力雄命(たぢからのおのみこと)岩を押し開き、大御神を迎えたので天地は再び明るくなったとは有名な神話で、後世の鈴は、此時のおがたまの実に象り案出されたものと伝わって居る。佐々木の祖先が之(こ)れを家業の菓子に転用したのは誠に思いつきで、気の利いた遣り方と思われる。

兎に角、神の國日向には相応しい縁起の品だから、是等も手伝い賞味さるることとなりたるものならんが、今日では貴賤上下の別無くひとたび延岡に入れば必ず一度は口にすると云うまでに其の名を馳せて居る。

 

(大正15年 大成舎刊『延岡大観』山口徳之助著より)

破れ饅頭